無職ヒモ日記15

○宅配便

彼女は多忙である。故にあまり頻繁に買い物にも行けない(と言ってもマンションの近所にスーパーやドラッグストアが無いと言うのもあるのだが)こともあり、頻繁にアマゾンなどのネット通販を使う。

 

当然受け取るのは俺だ。

 

ほぼ毎日毎日何かしたが佐川かヤマトで届く。そしていつも平日の朝から晩まで家にいる俺、今では配達のおじさんたちとすっかり顔なじみだ。

 

向こうは俺をどう思っているのだろうか。宅配便の宛名は女性の名前、しかし受け取るのは男性。しかも毎日毎日いつ行っても必ず在宅だ。これはどう見ても無職orニート、それか在宅ワーカーと思われていればよい方である。

ヒモになってから、あまり昼間は外出しないようにしている。人に見られてヒモだの無職だの言われるのが嫌だからだ。

 

しかしこのご時勢、アマゾンやらネット通販の所為で引きこもるのも難しくなってきたもんだ。何とももどかしい

無職ヒモ日記14

○俺の経歴

 

都会に憧れて出てきた典型的な田舎民の類である。中部地方の、それほど田舎というわけでも無く、かといって栄えているわけでもない典型的な地方都市で生まれ育った。東京に日帰りで行ける距離ではあるが、しかし交通費はそれなりにかかる。それ故、それほど頻繁に出て行くわけにも行かないそんな微妙な距離感。

 

特に大学で勉強したいことがあったわけではなかった。かと言って就職する気も無い。ただ憧れがあった。東京と言う都会に漠然とした憧れ、東京に行けば田舎には無い何かがあるんじゃないかという根拠不明な願望。それ故に、誰でも入れるボーダーフリーの文系Fラン私大に進学した典型的上京憧れ大学生であった。

 

在学中は高校時代の部活の延長でバトミントンサークルに入り、特に何か得られるような活動はせず、ダラダラとコンパと日々のお遊びの様な活動で四年間を終えた。

 

就職先はとあるメーカーの営業、面白みは一切無かったが、福利厚生と給与はそこそこ良かった。ただADHDである俺はそこを一年あまりで退職、以降仕事を転々とすることとなる。

 

直近は中小機械メーカーの営業。

chonny.hatenablog.com

ここにも書いたが、ADHDを理由にあっさとクビになったのだ。

以降の流れはブログの通りである。

 

東京じゃこんな人間珍しくも無い。毎日毎日東京に憧れて上京する人間なんて腐るほどいる、その口実が大学進学か専門学校進学かフリーターかなだけ、そこに大差など無い。須らく大して中身の無い連中だ(俺含め)。東京の板橋や荻窪、高円寺界隈にはこんなのがゴロゴロしている。その界隈の居酒屋アルバイトの八割はそんな類の人間である(偏見)

 

そしてそんな上京憧れ人間は、東京に自己の理想を勝手に投影し、そしてその理想を見事に裏切られ、そして勝手に失望して帰郷していく。俺の見立てじゃ半分は帰郷するね、そんで帰ってから「なんだかんだで地元が一番! 東京は遊びに行くところで住むもんじゃない!!」だなんて宣い、マイルドヤンキー化するんだわな須らく(俺の偏見です)

 

とりあえず俺はまだ東京にしがみついています。ヒモしてますが。何れ故郷に帰る時が来たとしても、決してそんな上京憧れ人間改めマイルドヤンキー化はしないように気をつけたいところです。ヒモはしてますが

 

 

無職ヒモ日記13

○彼女の仕事

彼女の仕事は激務である。激務とは言っても年収で言ったら4桁万円はもらっているようなので、簿給激務のブラック企業に勤める人々よりは幾分かマシかもしれない。

 

朝は比較的遅いので通勤ラッシュを避けて出勤しているが、夜は終電で帰れたら良い方。大抵はタクシーで帰宅する。たまに明け方に帰ってくることもある。その場合、殆ど風呂と着替えのために帰ってくるようなものだ。化粧を落とし風呂に入り、ちょっと横になっただけですぐ会社に向かう。まさに企業戦士、戦闘民族サイヤ人である。このような人々によって日本の経済が支えられていると思うと無職は頭が上がらない。

 

仕事の内容は詳しく明かせないが、基本的には頭脳労働だ。ひたすら頭を動かし、依頼された案件を精査し解決策を導き出していく業務。就活生の憧れる業種トップにくるような業界である。ただ学歴重視の職種のため基本的には一流大の学生しか入ることは許されていない。しかも一流大学の、その中でも上位学部において優秀な成績を残した者以外には面接を受けることすら許されていない、そんな業界である。三流Fラン私大の俺には縁の無い世界である。

 

若いうちから日本経済の中枢に入り込み、企業のトップと対等に渡り合える。そんな世界に憧れる学生は多い、そのためよく小説やドラマにも題材にされたりする憧れの業界。

 

話を聞いていると何かアレです。社長島耕作の世界を見ている様だ。財界トップに名を連ねるようなお人と会員制のレストランで会食だとか、一晩の接待で~百万かかっただとか、芸能人御用達の六本木のお店で会社の打ち上げだとか、店で隣の席を見たら芸能人の○×が◇△さんとデートしていたとか。もう意味が分からん。新聞でニュースを見ていたら経済紙一面に掲載されてるニュースを見て、これウチの案件だとか。

 

家に居ながら、日本の中枢に触れている錯覚を起します。私無職ですが。

 

そんな時は彼女に負けじと言う気持ちになり、俺はSLGゲームの信長の野望に手を伸ばします。彼女の気持ちに少しでも近づきたく、戦国武将の気持ちになって国政の勉強です。国の経済を発展させ、国力を豊かに、合戦をしかけ領土を拡げる。目指すは天下統一。

 

明日の日本を憂い、民のために、今日も元気に信長の野望で国政の理解に努めます。好きな武将は真田昌幸です。

 

 

 

 

 

無職ヒモ日記12

○日々の生活

昔からヒモの役割は家事と決まっている。女が仕事に出ている間、家の掃除・洗濯をし、買い物に行きご飯を作って待っている。そして帰ってきたら女の愚痴聞きをし、その間に風呂を入れ、洗い物を済ませ、そしてベッドで女を満足させ心地の良い腕枕をする。

 

そんなものがヒモの生活の典型例であろうか。

 

或いは傍若無人に振る舞い、女の給料日には口座からさっさと金を抜き、その足でパチスロに行く。勝ったら勝ったで酒と女、負けたら再び女にせびる。言うことを聞かなかったり気に入らないことがあると暴力。しかしたまに優しさや弱さを見せ、上手く飴と鞭を使い分けるジゴロの様なヒモ。

 

さぁ俺はどちらであろうか?

 

答えはそのどちらでも無い。まず家事についてだが、これ食洗機やドラム式洗濯機、ルンバがある時点で俺の役割は殆ど無い。おまけに月に何回か家事代行を頼んでいるのだ。そう、家事のプロである。つまり家事において俺の役割は皆無と言って等しい。

 

では俺はジゴロか? ジゴロは三流私大、中小企業勤めの元サラリーマンなんかに勤まるわけがない。おまけに学生時代は非リアとして過ごし、高校時代など女子と会話した記憶が皆無である。始めて女性とお付き合い出来たのは社会人になったからである(つまりヤラハタ)そんあ俺にジゴロの素質など皆無である。

 

では実際の生活はどうなのであろうか? ある日を例に挙げてみよう。

 

朝:彼女と共に起きる。軽い朝食を取ったり取らなかったり。この日はバナナと牛乳だけであった。一緒に食事を済ませたら、彼女は身支度を整え会社に。俺は二度寝のため布団へ。

 

11時頃:起床、目を覚ますためにシャワーに入る。牛乳を一杯飲みその後筋トレ、ランニング。

 

12時頃:ランニングから帰宅、シャワーで汗を流し、昼食の準備。大抵、冷凍うどんかインスタント麺

 

13時頃:ネットサーフィンor勉強開始

 

15時頃:近所を行きぬきにサイクリング兼買い物

 

16時頃:帰宅、夕食仕込み

 

18時頃:再びネットサーフィンor勉強

 

20時頃:ゲーム

 

24時頃:彼女帰宅、雑談。風呂の準備。

 

25時~26時:就寝

 

だいたいこんな生活である。改めて見てみると俺が彼女の宅にいる意味あるのかなーって思う。たぶんこの感じってペットの犬猫みたいな感じかな。いや犬ならまだ番犬になるけど、完全家で餌を貰っているだけの存在という意味なら猫が近いか…いかん、もう少し役に立とう。

 

 

無職ヒモ日記11

○彼女のこと

彼女は超絶エリートである。中高一貫の有名私立高校を出て、難関国立大学の上位学部卒、そのまま難なく某有名企業に入社し幹部候補として現在キャリアを歩んでいる。ビジネスレベルの英会話を身につけ、資格も複数所持、教養も豊かで週末はクラッシックコンサートや伝統芸能を鑑賞するような優雅な生活。学生時代の繫がりで霞ヶ関、政界、財界に多数の人脈があり、経済紙でよく見かけるレベルの人が友人に幾人もいる。

 

そんな化け物のような人間だ。受験戦争でトップで走り、そして就職戦線でも圧倒的勝利を勝ち取った。まるで征夷大将軍レベルの逸材である。昔の日本なら軍神として神棚に奉られているレベルだ。

 

そんな天上人レベルである身分の貴人と場末の油虫みたいな俺がどうして付き合っているのか、それはお釈迦様でも分からない。

 

ただ一つ言えることは彼女は男を見る目が無いということ。如何せん、俺を選んでいる時点でダメである。彼女の唯一の汚点である。俺と付き合う前は某T大法学部卒業のキャリア官僚と付き合っていたそうだ。その男と別れた後に俺。この間に目が腐ったのであろうか? 

 

この謎はリーマン予想を解くことより難しいであろう。

 

 

無職ヒモ日記10

○生活レベルの違い

これまで生きてきて、家賃なんで高い値段払うのは心底無駄だと思っていた。特に10万以上払うとかあり得ない。新築だとか築年数にこだわることは無駄であると思っていた。とりあえず古くても家賃が安くて、広さがあって、ある程度水周りが新しければそれほど不都合な無いと思って今まで住んできた。

 

まあそんな価値観あっさり砕かれたよね。やっぱ高いマンションはQOL(quality of life)が高い。何がすげぇってまず光熱費ほとんどかからない。前のアパートだと断熱材も質が悪く、窓も気密性は皆無、おかげでいくら冷暖房かけても効きが悪い。つまり夏は暑く冬は寒い。おまけにドアの隙間から虫(ゴキブリなど)は入ってくるし、外の洗濯機の音や話し声などの騒音は聞こえてくる。

 

だが、新居はそんなこと無い。夏涼しく、冬は暖かい。気密性が高いのか一度冷暖房を入れれば、すぐ涼しくなる。故に設定温度は上げすぎず下げすぎずで電気代要らず。外の音は一切聞こえず、むしろこの建物他に人住んでるのか?ってくらいに遮音性が高い。おまけに備え付けのガスコンロは火力高くてすぐお湯が沸く。おまけにオートロックなので変な勧誘が部屋に訪問するようなことも無く、宅配ボックス付きでアマゾン注文が圧倒的に楽。あと24時間ゴミが何でも出せるって便利、これでうっかり生ゴミ放置で部屋が臭くなるなんてことも無い。

 

家賃が高いとこんなにも生活の質が違うのかと驚きますよね。

 

家電関連はいちいち書いていくと大変なので箇条書きにしてまとめます。

 

冷蔵庫:自動製氷の機能ついてるって便利。開けっ放し防止機能とか、中の配置も広くて効率よく使えて、安物とは大違い。

 

炊飯器:よく分からないけど、高いやつみたいでボタン一つでお米がツヤツヤ。炊飯器で炊いただけなのにお店のご飯みたいに旨い。

 

食洗機:食事のあと放り込んでボタン一つで洗いものが済むって楽、洗い物放置してシンクが恐ろしいことになるなんてことないのね。

 

ルンバ:意外に音がうるさいけど、放っておくだけで床の埃や小さなゴミを毎日掃除してくれて掃除要らず。

 

TV:画面大きい、画質綺麗。おまけに24時間番組録画。

 

○食生活

 

高いものは旨い、あと健康に良い。

以上

 

生活レベルが違うって凄いですね、俺サラリーマン時代だって食事なんてインスタントかスーパー半額惣菜ばっかりだったのに・・・。この生活始めてから健康面が多少向上した気がする。身体に悪いものをあまり取らなくなった。(彼女がいない時はインスタントばかり)あと室内が快適過ぎて引きこもりがしやすくなった(外出する金も無いのだが)

 

ただ何より一番有難いのは、生活の不安が無くなったが故に、これでようやく安心して今後の活動(就職活動や資格、英語の勉強などのスキルアップ)に打ち込めるという点である。まあ自分もいつまでもこんな生活に甘んじているつもりは無いのです。

 

ただ、俺がいくら頑張ったところで彼女の年収に届くことは無いのだろうなぁ・・・

 

 

無職ヒモ日記9

○ヒモとなる転機

 

ヒモになりたいと思っている人間はヒモになることは出来ないと、どこかで聞いた。

実際そうであろう。俺がそうであった。俺はヒモになろうとしてなったわけでは決してない。ただいつの間にかそうなってしまったのである。

 

俺は三流私大文系学部卒、これと言って何の取りえもない男である。おまけに非常に不器用、コミュ障でもあるため上司からのウケはすこぶる悪い。今まで三回転職を繰り返しているのだが、そのどこに行っても上司からは嫌われた。

 

しかし俺も嫌われてばかりではない、嫌われたことが分かったら俺も嫌うのである。一度オフィスで怒鳴りあいの喧嘩をしたこともある。嫌われたってただでは済まない、こちらだって上司を嫌ってやるのだ。そんなことをしていたらいつの間にか会社を追い出されていたわけだ。

 

追い出された理由にはもう一つ訳がある。それは自分がADHDであるからである。なーんかミス多いし、人と違うよなーなんて思っていたところ、友人の勧めで医療機関の検査を受けてみたら案の定引っかかってしまったのだ。それを会社に報告したところ一年後にあっさりとクビである。

 

上司と折り合い悪く、得体の知れない(と思われている)ADHDなんぞ抱えている社員になぞ用はないと言う事だ。理不尽(だとは自分で思っている)な理由で退職勧告をされたのだが、しかし会社も後ろめたかったのだろう。出社不要で三ヶ月は在籍させてもらえるとのことであった。

 

前述のブログ通り、この期間は廃人生活を満喫した。というより他にすることが無かった。どう考えても自分がサラリーマン生活が向いているとも思えず、どうしたもんかと考え色々試行錯誤していた時期である。もちろんアニメも盛んに見ていた。

 

そうして過ぎた三ヶ月、今度は会社を正式に解雇され離れ、失業保険給付の始まりである。そうなると重く圧し掛かる社会保険、市民税。家賃安く、光熱費は安いが、やはり生活に関する固定費は無職に重い。

 

どうしたもんかと考えあぐねていたが、ここまでの経緯は一切彼女に話していなかった。まあ普通に言えるわけがない。ここでヒモ願望がある男子なら、そっこーカミングアウトして彼女からの経済的支援を請うのだろうか。まあ俺にはヒモ願望は無かったので分からんとこである。

 

ただ、金の不安があったため、高ステータス&高所得の彼女の生活に合わせることが出来ず、ある日思わず彼女の家を飛び出してしまったことがある。そこですったもんだの末ようやく無職になった旨を彼女に伝えたところ、思いのほか彼女はすんなり受け入れ、色々と俺を支えてくれるようになった。(主に食費関連)

 

そんな期間がしばらくあり、なかなか就活が上手くいかず、コスパの良い埼玉県W市の家も引き払って、もっと安い所に引越し長期戦の構えを考え始めた頃、ちょうど彼女のマンションの更新の時期が被った。後はご想像にお任せする。まぁ最初は彼女も渋ってはいたが、色々俺が思いつめていたりもしていたので最終的には首を縦に振った。

 

最初っから転がりこむことなんて考えていたら、女ってのは勘のするどい生き物であるので、そんな思いあっという間に見透かされて拒否されるだろう。ヒモ願望のある男が上手くいかないのはそんなところだと思う。

 

自分の場合は、そんな願望無かった。ある程度は自分の力で何とか生きていく気概があったのだが、色々とトラブル続きでなし崩し的に同棲することになった(家賃は払っている)

 

まぁ何が言いたいかって言うと、ヒモは考えてなるものじゃない。流れでなるものなのかもしれないってことだ。