無職ヒモ日記9

○ヒモとなる転機

 

ヒモになりたいと思っている人間はヒモになることは出来ないと、どこかで聞いた。

実際そうであろう。俺がそうであった。俺はヒモになろうとしてなったわけでは決してない。ただいつの間にかそうなってしまったのである。

 

俺は三流私大文系学部卒、これと言って何の取りえもない男である。おまけに非常に不器用、コミュ障でもあるため上司からのウケはすこぶる悪い。今まで三回転職を繰り返しているのだが、そのどこに行っても上司からは嫌われた。

 

しかし俺も嫌われてばかりではない、嫌われたことが分かったら俺も嫌うのである。一度オフィスで怒鳴りあいの喧嘩をしたこともある。嫌われたってただでは済まない、こちらだって上司を嫌ってやるのだ。そんなことをしていたらいつの間にか会社を追い出されていたわけだ。

 

追い出された理由にはもう一つ訳がある。それは自分がADHDであるからである。なーんかミス多いし、人と違うよなーなんて思っていたところ、友人の勧めで医療機関の検査を受けてみたら案の定引っかかってしまったのだ。それを会社に報告したところ一年後にあっさりとクビである。

 

上司と折り合い悪く、得体の知れない(と思われている)ADHDなんぞ抱えている社員になぞ用はないと言う事だ。理不尽(だとは自分で思っている)な理由で退職勧告をされたのだが、しかし会社も後ろめたかったのだろう。出社不要で三ヶ月は在籍させてもらえるとのことであった。

 

前述のブログ通り、この期間は廃人生活を満喫した。というより他にすることが無かった。どう考えても自分がサラリーマン生活が向いているとも思えず、どうしたもんかと考え色々試行錯誤していた時期である。もちろんアニメも盛んに見ていた。

 

そうして過ぎた三ヶ月、今度は会社を正式に解雇され離れ、失業保険給付の始まりである。そうなると重く圧し掛かる社会保険、市民税。家賃安く、光熱費は安いが、やはり生活に関する固定費は無職に重い。

 

どうしたもんかと考えあぐねていたが、ここまでの経緯は一切彼女に話していなかった。まあ普通に言えるわけがない。ここでヒモ願望がある男子なら、そっこーカミングアウトして彼女からの経済的支援を請うのだろうか。まあ俺にはヒモ願望は無かったので分からんとこである。

 

ただ、金の不安があったため、高ステータス&高所得の彼女の生活に合わせることが出来ず、ある日思わず彼女の家を飛び出してしまったことがある。そこですったもんだの末ようやく無職になった旨を彼女に伝えたところ、思いのほか彼女はすんなり受け入れ、色々と俺を支えてくれるようになった。(主に食費関連)

 

そんな期間がしばらくあり、なかなか就活が上手くいかず、コスパの良い埼玉県W市の家も引き払って、もっと安い所に引越し長期戦の構えを考え始めた頃、ちょうど彼女のマンションの更新の時期が被った。後はご想像にお任せする。まぁ最初は彼女も渋ってはいたが、色々俺が思いつめていたりもしていたので最終的には首を縦に振った。

 

最初っから転がりこむことなんて考えていたら、女ってのは勘のするどい生き物であるので、そんな思いあっという間に見透かされて拒否されるだろう。ヒモ願望のある男が上手くいかないのはそんなところだと思う。

 

自分の場合は、そんな願望無かった。ある程度は自分の力で何とか生きていく気概があったのだが、色々とトラブル続きでなし崩し的に同棲することになった(家賃は払っている)

 

まぁ何が言いたいかって言うと、ヒモは考えてなるものじゃない。流れでなるものなのかもしれないってことだ。