無職ヒモ日記17

○ヒモの役割

主に料理である。巷でヒモは夜のセックスで彼女を満足させるとか書かれているが、ありゃ嘘だ。少なくともウチはそうである。

お互いそんなに好きでもないってのもあるけどね。

掃除洗濯はどうかと言うと、洗濯は全自動、食洗器も付いているのであまりすることは無い。おまけに彼女の大事な服や靴は全てクリーニング屋。つまり必然的に俺の仕事は料理担当のみである。

 

と言ってもプロ級の腕前があるわけでは無い。昔、飲食店でバイト経験があるので、まあ他の男ども(週末料理男子などと言っている連中よりは)と比べれば多少旨いものが作れる。 

 

特に技術は要らないが時間と手間がかかる系の料理を平日に仕込み、彼女が家でゆっくり食事の取れる週末に振る舞うといった感じだ。

 

ハムやチャーシュー、ローストビーフ、カレーはスパイスから作るし、牛筋やモツ煮もことこと煮込む。鳥ガラを寸胴で煮込んでスープを作ることもある。一部料理は店で出せるレベル味だとお墨付きをもらったこともある。

 

ヒモを辞めたらどっかで料理屋でも開こうかな、あ、でも金がねーや、誰か利息なし、返済期限無しで出資してくれんかな。それってパトロンって奴か、パトロンを持つってのもある意味ヒモみたいなもんだよね、なんだ世の中ヒモみたいな人って多いのかもな、もっと自信もって生きよう。

 

 

 

無職ヒモ日記16

・今日は久々に履歴書を書いた。

ヒモでいる身は楽だ。しかしやはりあまり精神衛生上あまりよろしくない部分もある。友人や昔の同僚と会ったとき「最近どーよ?いま何してんの?」なんて聞かれた場合、何とも答えづらい。

 

こんな時、胸を張って「ヒモしてます!!」だなんて答えられるのが一流のヒモなのだろうが、俺はまだまだその境地には達していない。

 

ちなみに彼女の上司は女性で、その上司もヒモを飼っているらしい。彼はその上司のカードを借りて月に数十万単位で使いながら、負い目一切無く堂々としているらしい。その女上司の目の前でカードで風俗まで行っていることを公言しているとか…俺はまだそこまではなれない。ちなみに彼の職業は自称「ミュージシャン」だそうだ。

 

まだまだ未熟な俺は最近就活サイトなどに登録し、ボチボチとマイペースで応募はしている。しかし俺の学歴と職歴じゃ大手は全滅、たまに反応があるかと思えば超絶ブラック系のみ。これならバイトの方がまだマシだな、なんて思いながらページをそっと閉じ、そしてプレステのスイッチを入れるのだ。

 

だいじょうぶ、俺はまだ仕事を探す気はあるから、他のヒモとは違う!!と自分に言い聞かせて精神を落ち着かせている。

 

しかし、他のヒモやってる世の男性ってどんなメンタルで生活してんのかなー、何となく気になる。

 

ネットでヒモが集まるオフ会とかしてみたい。

無職ヒモ日記15

○宅配便

彼女は多忙である。故にあまり頻繁に買い物にも行けない(と言ってもマンションの近所にスーパーやドラッグストアが無いと言うのもあるのだが)こともあり、頻繁にアマゾンなどのネット通販を使う。

 

当然受け取るのは俺だ。

 

ほぼ毎日毎日何かしたが佐川かヤマトで届く。そしていつも平日の朝から晩まで家にいる俺、今では配達のおじさんたちとすっかり顔なじみだ。

 

向こうは俺をどう思っているのだろうか。宅配便の宛名は女性の名前、しかし受け取るのは男性。しかも毎日毎日いつ行っても必ず在宅だ。これはどう見ても無職orニート、それか在宅ワーカーと思われていればよい方である。

ヒモになってから、あまり昼間は外出しないようにしている。人に見られてヒモだの無職だの言われるのが嫌だからだ。

 

しかしこのご時勢、アマゾンやらネット通販の所為で引きこもるのも難しくなってきたもんだ。何とももどかしい

無職ヒモ日記14

○俺の経歴

 

都会に憧れて出てきた典型的な田舎民の類である。中部地方の、それほど田舎というわけでも無く、かといって栄えているわけでもない典型的な地方都市で生まれ育った。東京に日帰りで行ける距離ではあるが、しかし交通費はそれなりにかかる。それ故、それほど頻繁に出て行くわけにも行かないそんな微妙な距離感。

 

特に大学で勉強したいことがあったわけではなかった。かと言って就職する気も無い。ただ憧れがあった。東京と言う都会に漠然とした憧れ、東京に行けば田舎には無い何かがあるんじゃないかという根拠不明な願望。それ故に、誰でも入れるボーダーフリーの文系Fラン私大に進学した典型的上京憧れ大学生であった。

 

在学中は高校時代の部活の延長でバトミントンサークルに入り、特に何か得られるような活動はせず、ダラダラとコンパと日々のお遊びの様な活動で四年間を終えた。

 

就職先はとあるメーカーの営業、面白みは一切無かったが、福利厚生と給与はそこそこ良かった。ただADHDである俺はそこを一年あまりで退職、以降仕事を転々とすることとなる。

 

直近は中小機械メーカーの営業。

chonny.hatenablog.com

ここにも書いたが、ADHDを理由にあっさとクビになったのだ。

以降の流れはブログの通りである。

 

東京じゃこんな人間珍しくも無い。毎日毎日東京に憧れて上京する人間なんて腐るほどいる、その口実が大学進学か専門学校進学かフリーターかなだけ、そこに大差など無い。須らく大して中身の無い連中だ(俺含め)。東京の板橋や荻窪、高円寺界隈にはこんなのがゴロゴロしている。その界隈の居酒屋アルバイトの八割はそんな類の人間である(偏見)

 

そしてそんな上京憧れ人間は、東京に自己の理想を勝手に投影し、そしてその理想を見事に裏切られ、そして勝手に失望して帰郷していく。俺の見立てじゃ半分は帰郷するね、そんで帰ってから「なんだかんだで地元が一番! 東京は遊びに行くところで住むもんじゃない!!」だなんて宣い、マイルドヤンキー化するんだわな須らく(俺の偏見です)

 

とりあえず俺はまだ東京にしがみついています。ヒモしてますが。何れ故郷に帰る時が来たとしても、決してそんな上京憧れ人間改めマイルドヤンキー化はしないように気をつけたいところです。ヒモはしてますが

 

 

無職ヒモ日記13

○彼女の仕事

彼女の仕事は激務である。激務とは言っても年収で言ったら4桁万円はもらっているようなので、簿給激務のブラック企業に勤める人々よりは幾分かマシかもしれない。

 

朝は比較的遅いので通勤ラッシュを避けて出勤しているが、夜は終電で帰れたら良い方。大抵はタクシーで帰宅する。たまに明け方に帰ってくることもある。その場合、殆ど風呂と着替えのために帰ってくるようなものだ。化粧を落とし風呂に入り、ちょっと横になっただけですぐ会社に向かう。まさに企業戦士、戦闘民族サイヤ人である。このような人々によって日本の経済が支えられていると思うと無職は頭が上がらない。

 

仕事の内容は詳しく明かせないが、基本的には頭脳労働だ。ひたすら頭を動かし、依頼された案件を精査し解決策を導き出していく業務。就活生の憧れる業種トップにくるような業界である。ただ学歴重視の職種のため基本的には一流大の学生しか入ることは許されていない。しかも一流大学の、その中でも上位学部において優秀な成績を残した者以外には面接を受けることすら許されていない、そんな業界である。三流Fラン私大の俺には縁の無い世界である。

 

若いうちから日本経済の中枢に入り込み、企業のトップと対等に渡り合える。そんな世界に憧れる学生は多い、そのためよく小説やドラマにも題材にされたりする憧れの業界。

 

話を聞いていると何かアレです。社長島耕作の世界を見ている様だ。財界トップに名を連ねるようなお人と会員制のレストランで会食だとか、一晩の接待で~百万かかっただとか、芸能人御用達の六本木のお店で会社の打ち上げだとか、店で隣の席を見たら芸能人の○×が◇△さんとデートしていたとか。もう意味が分からん。新聞でニュースを見ていたら経済紙一面に掲載されてるニュースを見て、これウチの案件だとか。

 

家に居ながら、日本の中枢に触れている錯覚を起します。私無職ですが。

 

そんな時は彼女に負けじと言う気持ちになり、俺はSLGゲームの信長の野望に手を伸ばします。彼女の気持ちに少しでも近づきたく、戦国武将の気持ちになって国政の勉強です。国の経済を発展させ、国力を豊かに、合戦をしかけ領土を拡げる。目指すは天下統一。

 

明日の日本を憂い、民のために、今日も元気に信長の野望で国政の理解に努めます。好きな武将は真田昌幸です。

 

 

 

 

 

無職ヒモ日記12

○日々の生活

昔からヒモの役割は家事と決まっている。女が仕事に出ている間、家の掃除・洗濯をし、買い物に行きご飯を作って待っている。そして帰ってきたら女の愚痴聞きをし、その間に風呂を入れ、洗い物を済ませ、そしてベッドで女を満足させ心地の良い腕枕をする。

 

そんなものがヒモの生活の典型例であろうか。

 

或いは傍若無人に振る舞い、女の給料日には口座からさっさと金を抜き、その足でパチスロに行く。勝ったら勝ったで酒と女、負けたら再び女にせびる。言うことを聞かなかったり気に入らないことがあると暴力。しかしたまに優しさや弱さを見せ、上手く飴と鞭を使い分けるジゴロの様なヒモ。

 

さぁ俺はどちらであろうか?

 

答えはそのどちらでも無い。まず家事についてだが、これ食洗機やドラム式洗濯機、ルンバがある時点で俺の役割は殆ど無い。おまけに月に何回か家事代行を頼んでいるのだ。そう、家事のプロである。つまり家事において俺の役割は皆無と言って等しい。

 

では俺はジゴロか? ジゴロは三流私大、中小企業勤めの元サラリーマンなんかに勤まるわけがない。おまけに学生時代は非リアとして過ごし、高校時代など女子と会話した記憶が皆無である。始めて女性とお付き合い出来たのは社会人になったからである(つまりヤラハタ)そんあ俺にジゴロの素質など皆無である。

 

では実際の生活はどうなのであろうか? ある日を例に挙げてみよう。

 

朝:彼女と共に起きる。軽い朝食を取ったり取らなかったり。この日はバナナと牛乳だけであった。一緒に食事を済ませたら、彼女は身支度を整え会社に。俺は二度寝のため布団へ。

 

11時頃:起床、目を覚ますためにシャワーに入る。牛乳を一杯飲みその後筋トレ、ランニング。

 

12時頃:ランニングから帰宅、シャワーで汗を流し、昼食の準備。大抵、冷凍うどんかインスタント麺

 

13時頃:ネットサーフィンor勉強開始

 

15時頃:近所を行きぬきにサイクリング兼買い物

 

16時頃:帰宅、夕食仕込み

 

18時頃:再びネットサーフィンor勉強

 

20時頃:ゲーム

 

24時頃:彼女帰宅、雑談。風呂の準備。

 

25時~26時:就寝

 

だいたいこんな生活である。改めて見てみると俺が彼女の宅にいる意味あるのかなーって思う。たぶんこの感じってペットの犬猫みたいな感じかな。いや犬ならまだ番犬になるけど、完全家で餌を貰っているだけの存在という意味なら猫が近いか…いかん、もう少し役に立とう。

 

 

無職ヒモ日記11

○彼女のこと

彼女は超絶エリートである。中高一貫の有名私立高校を出て、難関国立大学の上位学部卒、そのまま難なく某有名企業に入社し幹部候補として現在キャリアを歩んでいる。ビジネスレベルの英会話を身につけ、資格も複数所持、教養も豊かで週末はクラッシックコンサートや伝統芸能を鑑賞するような優雅な生活。学生時代の繫がりで霞ヶ関、政界、財界に多数の人脈があり、経済紙でよく見かけるレベルの人が友人に幾人もいる。

 

そんな化け物のような人間だ。受験戦争でトップで走り、そして就職戦線でも圧倒的勝利を勝ち取った。まるで征夷大将軍レベルの逸材である。昔の日本なら軍神として神棚に奉られているレベルだ。

 

そんな天上人レベルである身分の貴人と場末の油虫みたいな俺がどうして付き合っているのか、それはお釈迦様でも分からない。

 

ただ一つ言えることは彼女は男を見る目が無いということ。如何せん、俺を選んでいる時点でダメである。彼女の唯一の汚点である。俺と付き合う前は某T大法学部卒業のキャリア官僚と付き合っていたそうだ。その男と別れた後に俺。この間に目が腐ったのであろうか? 

 

この謎はリーマン予想を解くことより難しいであろう。