無職ヒモ日記21
・ヒモとしての一日
朝、彼女が仕事に行く音で目が覚める。微睡の中を彷徨いながら、何とか起きあがり、たまに夕食を作ってあげたり、或いは朝一からアニメを見たりゲームを見たり。
そんな俺を見て何も言わないのは彼女の優しさなのか、或いは諦めなのか。
さりとてゲームをする手やアニメの再生ボタンを押す指は止まるはずもなく日がな時間は消費されていく。
そんな爛れたヒモ生活ではあるが、日々の運動は欠かさない。毎日30分程度は外を歩くことにしている。ポケモンGOのためだ。最近は新しいポケモンがアップデートで増えたため、散歩が捗る。彼女もポケモンGOをプレイしているため、仕事で歩けないor捕まえられないものは俺が彼女の端末を借りて近所をグルグル回るのである。この点だけは日々の生活において唯一俺の存在感を示せるチャンスである。
帰ってくるとシャワーを浴び、再びゲームorアニメに没頭する。そこには何も知的&生産性は無い。
こんな生活を既に一週間ほど過ごしているのだが確実にIQが15は下がった気がする。社会性の低下に至っては測定不能、毎日ひげもそらない、風呂も入らない、一日中スウェットで過ごし髪はボサボサ、不規則な生活で目は虚ろ。こんな姿でポケモンGOのため近所を徘徊しているのだ、児童の下校時間と重なろうものなら通報案件ものである。幸いなことに今はまだ通報されてはいないが、なるべく小中学校の近くは通らないように気を付けている。
そんなことをしているうちに気付くともう夜である。夜は夜で大事な使命がある。それはスーパーのお惣菜の値下げタイムである。50%offでお刺身、お寿司、から揚げ、弁当が手に入るのである。自炊もするがここまで値下げすると自炊よりお得な場合もある。弁当など冷凍しておけば二日~三日は大丈夫。これは貴重な生活の糧となるので一日のうちで最も重要な時間である。
それが終わるとほっと一息、スーパーでゲットした値下げ総菜の中から今日食べたいものを選び、TVでも見ながらのんびりとした時間を過ごす。一日のうちで最も至福の時である。
その後は彼女が帰ってくるタイミングを見計らいお風呂を張り、彼女の後に風呂に入りそして寝る。それがだいたいの繰り返し。
意外と充実してなくもないかもしれない。
俺の生活で唯一美徳なのは酒もギャンブルも一切やらない点である。それらに手を出したら終わりである。まあ興味も無いけど。
酒とギャンブルに走るヒモと、それらに手を出さずゲームとアニメに走るヒモ、どちらがマシかと言えば後者であると自負しているが、所詮ヒモのマウンティングなど空しいものである。犬のウンコと猫のウンコ、どっちが臭くないか? そんなこと比べたところでウンコはウンコである。その存在価値に揺るぎは無い。
ヒモは須らくヒモでしかない、その自覚を帯びて今日も元気にヒモしています!!