無職ヒモ日記27

〇 無職の俺からブラック企業に勤めるサラリーマンに言いたいこと

 

前職は所謂ブラックであった。まあ土日はきちんと休みが取れている分、休日出勤がある会社などに比べたらまだマシだったかもしれない。しかしここでブラックぶりを競っても意味は無いし、する気もない。

 

俺の働いていた会社は従業員20人未満の小さな会社、就業規則も無けりゃ勤務時間も決まっていない。だから残業代なんて概念がそもそも無かった。一応始業は九時、俺は入社してすぐ、十~五分前に事務所に着いていたのだがある日先輩に呼び出されて怒られた。

「なんで八時四十分に来てねーんだよ、みんなより遅くて悪いと思わないのか」

 

と、それに対し

 

「いや始業は九時と聞いていましたがそれには間に合ってますよね? 20分前に来るという根拠は何処にあるのでしょうか? その辺り就業規則はどうなってるんでしょうか?」

 

と返した。Fランとは言え一応法学部と名がつく学部を出ていたので一応反論してみた。まあこの辺りが俺の社会性の無さである。素直にはいと言えばいいのにね。

 

就業規則なんてそんなもんねーよ、分かったら明日から八時四十分に来い」

 

当然先輩は不機嫌そうな顔をして、そう言い放った。俺氏愕然。就業規則が無い会社があること自体が予想外であった。つーか就業規則が無いってことは社員に残業させらないし、解雇する時に色々面倒になるはずなんだけどな。色々突っ込みたいところはあったが、そこは胸の内に秘めてやり過ごした。この辺りからこの会社を疑い始めた。

 

そもそも会社の会議の設定時間がイカれてた。顧客ありきの仕事なので仕事が終わって全社員が集まる時間が遅くなることは了承済みだが、夜の九時から本社集合である。結局社員が全員集まったのは10時過ぎ、終わったのは11時半。もちろん残業代は無い。しかも誰も文句は一切無いし、それを当然のように受け止めている。俺は少々この会社はおかしいと思い始めた。

 

会社もクソなら上司もクソ、プレイヤーとしてかなり優秀な人ではあることは認めよう。が最初からいきなり個室に俺を連れ込み

 

「お前は俺が注意するときいつも目が反抗的だ。そういう態度で仕事をするなら考えがあるぞ」

 

と、いきなり脅しから入る。後でほかの辞めていく社員に聞いたら、その人の下に就く人は皆同じことをやられているそうだ。そうやって最初に人を威圧して言うことを聞かせやすくするための上司なりのテクニックなんだろう。アホか、んなもん中高の部活の先輩レベルのテクだこの低能!!

 

ちなみに前任者は三人が三人とも辞めていっている。上司のいびりに皆馬鹿らしくなって辞めていったのだろう。

 

おまけに引継ぎは一切無し。次の日からいきなり担当先を任された。右も左も分からない中、本社の管理部から突き上げを食らい、担当先からは突き上げを食らい、上司からも突き上げを食らい、毎日必死になって仕事をこなしストレスで胃が痛かった。当然ミスは全部俺の責任。聞いていない情報や、そもそも会社のシステムのエラーで起きるミスが全て俺個人の責任し詰められる。

 

ある日その𠮟責に耐えかねて、反論をした。会社の在庫管理システムにエラーがあり、それを修正せずに放置していたために起きたトラブルであった。それを俺の職務怠慢の所為だと上司に詰められたからだ。

 

さすがに俺もそこは理知的に反論した。俺の確かに注意不足はあるかもしれない。しかし在庫管理システムにエラーが出たまま修正せずに放置していた会社の責任もある。そのエラーを放置していた分が積み重なって起きたのが今回の事態であると。ここで俺をいくら叱責をしても意味が無く、こんなことで有耶無耶にしても今後同様にトラブルを起こりうるであろうから、ちゃんと根本的な問題解決をすべきだと反論。

 

結果としてはこれがまずかった。上司は

 

「じゃあ誰の責任だ? Aに言えば問題は解決するのか?」(Aさんは在庫管理の責任者。システムを作っていた人の上にいたBさんの上司になるが、肝心の作成者のBさんは俺の上司のいびりで二か月前に辞めている) 

 

と更に詰めてくる。システムを作っていたのはBさんで、すでに辞めている。それ故、いまAさんにその責任を負わすは正直話が違うと思ったので。

 

「自分の口からは誰に責任があるかとは言える立場にはありません。ただシステム上のエラーをこのまま放置していたのであれば、それは後々に同様の問題が起きかねないですし。自分を怒ってどうにかなる問題でも無いと思う。むしろこの問題の本質は…」

 

と冷静に上司に反論しかけたところで

 

「もういい黙れ!! さっさと仕事へ行け!!」

 

と顔真っ赤にしてブチ切れになりあそばされました。たぶんこの上司今まで自分に反論してくる部下が今までいなかったようで、反論に慣れてなく、ただ闇雲にブチ切れるくらいしか出来なかったようである。ここまで精神的に幼稚な上司を見たのは久々であった。

 

最初にも書いたが結果的にこの行為が仇となった。その一か月後、俺は試用期間で解雇を宣言される。色々言いたいこともあったし、労基に駆け込んだら撤回させることも可能だったかもしれない。ただこれ以上こんな上司の下で延々と今後働かねばならないかと思うと、そこまでする気にもなれなかった。

 

この後の対応がまたクソで。本社に退職手続きに向かったらシレっと退職届を書けと言われる。あれ? 俺上司に解雇って言われたはずなんだけど、俺から退職届を書くってどういう話だよ? 当然拒否。うちの会社では書くことになってるから、とか社長が言ってくるので、就業規則が無い旨、また労基にチくること等をチラつかせたらあっさりと引き下がった。

 

もう色んな意味でブラックでしかない。

 

俺はこの会社を一か月で辞めようかと思い始め、結果的には二か月目に会社から解雇された。結果的にはそれで良かったんじゃないかと思っている。

 

しかし残った社員は何故か盲目的にこの会社に従っている。非論理的な叱責を繰り返し傍若無人に振る舞う上司の顔色を伺うことに必死な先輩。その上司の下でビクビクしながら働く事務の女の子。子供がまだ生まれたばかりなのに労務管理もしっかりしてない会社で毎晩終電間際までこき使われて疲弊してる在庫管理の責任者。

 

最後辞める直後にそれらの人とざっくばらんに話してみた。一人の先輩(上司の顔色ばかり伺っている先輩)は俺から同業他社の話を聞きたがり、ここから離れたい雰囲気を醸し出していたが、他の皆は一切離れる気は無く。そこまでこの会社も悪くないよ。。。と言った話ばかりであった。

 

『像は小さな頃から飼われていると、自分で引きちぎれる鎖であっても引きちぎって逃げようとしなくなる。』

 

とかって話をどっかで読んだ記憶がある。

 

正直、この会社の社員は少人数で大量の仕事をこなし、そこらの社員よりよほど優秀である。同業他社で、勤務時間も少なく残業代も出て、給与ベースも上がる会社は幾らでもある。俺はFラン卒で無駄に転職回数重ねた人間なのでもう諦めている。俺は無職ヒモの屑くらいが関の山だけど、他の人は探せばもっといい会社があるのになぁと最後辞めるとき思った。

 

ブラック企業は会社や上司がやばいんだろうけど、その環境に慣れてしまって、その境遇を甘んじて受け入れてしまう社員もいるから悪いんじゃないかと思う。俺は反論して解雇になったけど、皆で結託しておかしいことにおかしいと言える環境があればブラック企業なんて無くなるのではと思うのだ。

 

まあ日本の企業文化だと難しいのかもしれないけどね。しかし思うのはブラック企業を生み出し、そしてそれがいつまでも滅びないのは、そのブラック企業を受け止めてしまう日本の多くのサラリーマンの気質にこそ問題があると思うのだ。

 

まあ無職ヒモニートの戯言でしか無いけどさ。