無職ヒモ日記13

○彼女の仕事

彼女の仕事は激務である。激務とは言っても年収で言ったら4桁万円はもらっているようなので、簿給激務のブラック企業に勤める人々よりは幾分かマシかもしれない。

 

朝は比較的遅いので通勤ラッシュを避けて出勤しているが、夜は終電で帰れたら良い方。大抵はタクシーで帰宅する。たまに明け方に帰ってくることもある。その場合、殆ど風呂と着替えのために帰ってくるようなものだ。化粧を落とし風呂に入り、ちょっと横になっただけですぐ会社に向かう。まさに企業戦士、戦闘民族サイヤ人である。このような人々によって日本の経済が支えられていると思うと無職は頭が上がらない。

 

仕事の内容は詳しく明かせないが、基本的には頭脳労働だ。ひたすら頭を動かし、依頼された案件を精査し解決策を導き出していく業務。就活生の憧れる業種トップにくるような業界である。ただ学歴重視の職種のため基本的には一流大の学生しか入ることは許されていない。しかも一流大学の、その中でも上位学部において優秀な成績を残した者以外には面接を受けることすら許されていない、そんな業界である。三流Fラン私大の俺には縁の無い世界である。

 

若いうちから日本経済の中枢に入り込み、企業のトップと対等に渡り合える。そんな世界に憧れる学生は多い、そのためよく小説やドラマにも題材にされたりする憧れの業界。

 

話を聞いていると何かアレです。社長島耕作の世界を見ている様だ。財界トップに名を連ねるようなお人と会員制のレストランで会食だとか、一晩の接待で~百万かかっただとか、芸能人御用達の六本木のお店で会社の打ち上げだとか、店で隣の席を見たら芸能人の○×が◇△さんとデートしていたとか。もう意味が分からん。新聞でニュースを見ていたら経済紙一面に掲載されてるニュースを見て、これウチの案件だとか。

 

家に居ながら、日本の中枢に触れている錯覚を起します。私無職ですが。

 

そんな時は彼女に負けじと言う気持ちになり、俺はSLGゲームの信長の野望に手を伸ばします。彼女の気持ちに少しでも近づきたく、戦国武将の気持ちになって国政の勉強です。国の経済を発展させ、国力を豊かに、合戦をしかけ領土を拡げる。目指すは天下統一。

 

明日の日本を憂い、民のために、今日も元気に信長の野望で国政の理解に努めます。好きな武将は真田昌幸です。